inner-castle’s blog

読書、キリスト教信仰など内面世界探検記

雑感

亡き友との一方的会話

最近、身近な人を見送って喪失感が大きい。葬式は、今流行の超簡素なもので故人の経歴紹介や告別の辞もなかったが、近親者や極親しい者ばかりなら必要もなく充分心のこもったものであった。それほど長命とは言えないけれど、80才近くまで生き、苦しみなく…

ゲーテ「月に寄せて」D259を聴いて

ヨハネ受難曲の第19曲に「思い見よ、わが魂よ」というアリオーソがある。その曲を歌っていたジーグフリート・ローレンツという歌手が気になり、やっと、「ゲーテの詩によるシューベルト歌曲集」というCDを見つけ、久しぶりにドイツリートを楽しんだ。表記の…

六条院でのリベンジ(源氏物語妄想)

竹橋の丸紅ギャラリーで、源氏物語若菜の段の女楽のくだり「明石の御方」の衣装を復元展示していると聞き、さっそく行ってきた。文字通り、復元された平安時代女房装束と生地、それと対照させた現代皇室の衣装の写真パネルだけの小規模展示で、少し物足りな…

アニメ「青のオーケストラ」 佐伯君のこと

漫画・アニメ好きはまだまだ続いている。標題のアニメは、「四月は君の嘘」同様、クラシック音楽絡みで少年の成長を描いたものである。クラシック音楽絡みというと、一昔前は「のだめカンタービレ」があり、指揮者を目指す音大生の恋愛に絡めて名曲をふんだん…

平井雅穂先生「ロビンソン・クルーソー」の解説

現在、独居老人として、生涯はじめて暇を持て余す生活を味わっている。かといって、旅行や趣味を楽しむ余裕は経済的にも体力的にも不足している。自然、読書やPCを利用し自宅で可能な事をして過ごすことになる。 とはいえ関心をそそられる新規な本に出会うこ…

「死」は「眠り」か?死後復活までの魂の有り様

私の大好きなバッハのカンタータに、「死よ、眠りの兄弟たるものよ」で始まる讃美歌で閉じるものがある。その他、死を眠りに例える表現は数限りなくある。使徒行伝の殉教者ステパノの死は、「そして彼は眠りについた」と表現され、ホメロスも死んだと言うこ…

一途な人、ヤコブ

ユダヤ人の直接の先祖ヤコブの話が旧約聖書創世記に出てくる。彼が「長子の特権」である神の祝福を兄からだまし取った話とか、兄の怒りから逃亡中に見た「夢の梯子」とか、恋人ラケルを娶るために14年も彼女の父に仕えた事とか、その後の妻達の子供産み合戦…

ルーブル美術館展「愛を描く」

新美術館にルーブル美術館展「愛を描く」を見に行った。 中学生の頃、半裸で胸に手を当て、目を天に向け、陶酔する金髪の美女の絵を見た。題名は「悔悛するマグダラのマリア」であった。信仰に目覚め、霊的な感激に陶酔する姿を、なんでエロチックな美女とし…

讃美歌39番「日暮れて四方はくらく」

前回、日記よりブログの方が、日々の雑感を書き留めるには健康的だと書いた。だがそれ以降、腰痛に悩まされたり、歯の痛みで歯医者に通ったり、定期的な眼科と内科の通院があったりして、何か読んだり考えるより自分の身体のお世話に忙殺されてしまった。加…

ブログの効用

先日、ネット検索していたら、次のような人生相談を見つけた。 「73歳で亡くなった母親の遺品整理で日記を見つけ、悪いと思いつつ読んだら、寡婦となった70歳前後の母が「老いらくの恋」を体験し、『人生初めて身体が震える程の快感を味わった』などの赤裸々…

待望と希望

新聞に猫をキャラクターにした「銀河鉄道の夜」の漫画が連載されていて楽しみに見ている。先週は、タイタニック号沈没の犠牲者が乗り込んできた場面であった。家庭教師の青年が、預かった子供達を抱きしめて死ぬ覚悟をつけた時に歌声が聞こえてくる。「ああ…

ヨハネによる福音書を読了して

もう20年以上、家族で聖書を読み礼拝をする事を続けてきた。最初は毎週、説教担当の夫の体力が衰えてからは隔週行ってきた。夫が亡くなって一事中断したが娘と私二人だけで時に友人を交えつつ再開し、隔週で継続して今に至っている。子育て中の娘は無理なの…

蘇東坡の詩より、「当年の二老人、我が此の音を作るを喜びたまえり」

心筋症の退院直後、突然、左右の目の焦点が合わない急性内斜視になってしまった。スマホを見過ぎた若者がよくかかる症状だそうだが、スマホもPCもそれ程見続けたわけでもない私がそうなった原因がよく分からない。働いていた頃には、毎日六時間以上PCを…

放蕩息子の帰還

放蕩息子の譬は、聖書の中でも最もよく知られた話であろう。様々の絵画に描かれたているが、私が思い出すのはレンブラントの版画である。建物のドーム型入り口の前で、丸いユダヤ帽子をかぶった老人が、跪いている半裸の若者を抱きしめている情景が描かれて…

オンラインツアー

この度、はじめてオンラインツアーを体験させて貰った。90分間世界一周ということで、エルサレム、モロッコ、ロンドン、インド、シドニーを15分ずつ現地ガイドが紹介してくれた。一番期待していたエルサレムではカメラの接続が悪かったりしたが、ライブ中継…

文字と言葉

私が自宅にこもっていると知って、妹が食べ物や本を沢山、数回にわたって差し入れてくれた。いまだに家族やサークルなどの世話に忙殺されている中で心遣いしてくれてありがたい限りである。私はと言えば惣領の甚六、こうした細やかな気遣いができないたちで…

ワクチン接種の心構え

7月1日に、コロナワクチンの2回目の接種を受けた。その副反応というか、副作用が予想外にひどかったので、我ながら甘く考えていたことを反省した。 当日昼頃接種を受け、そのまま自宅にもどったが、夕方頃から体調が悪いのが自覚され早寝した。処が、夜中に…

アウグスティヌス「神の国」

半年ぶりの投稿である。自分の読書感想を記録するためにこのブログを開始したのだが、アウグスティヌスの「神の国」(文庫五冊)を読み始め,途中で挫折して中断してしまった。 私は、彼の有名な「告白録」を読んで感銘を受けた記憶がある。またボッティチェ…

見えない人々

「福音と世界」という雑誌に「夜間中学 仲間とともに未来を開く学び」という記事が掲載された。妹が永年夜間中学教師として働いてきた関係から、私も少なからず夜間中学に関心をもってきたつもりだが、記事を読んで色々と気づかされたことが多い。 前回のブ…

亀によせて

松本清張の「砂の器」に、亀田という地名が出てくる。亀のつく地名はすごい多い。かくいう私の住まいもそうで、街頭は亀甲モチーフ、街角には美しくもない亀の像が沢山置いてある。なんでこんなに「亀」は人気なんだろうか。 人名や屋号にも、最近はともかく…

さらぬ別れ

伊勢物語に、昔男の母宮が、宮仕えに忙しくなかなか遇いにこられない男(業平)に「老いぬればさらぬ別れのありといへば いよいよ見まくほしき君かな」と和歌を送る段がある。男は泣き泣き「世の中にさらぬ別れのなくもがな 千代もと祈る人の子のため」と返…

ファンタジーの世界観

私の何よりの楽しみは、良質のファンタジーやSF小説を読みふけることである。昔から、その件で親や夫に呆れられた。しかし今は、好きなものをだれ憚ることなく読める時期だ。お堅い本に疲れると児童文学であろうと構わず楽しく読みふけっている。 最近は、…

洗礼者ヨハネの最後

猛暑とコロナ禍で引きこもるっていると、刺激がなくて本を読みたいという好奇心もなくなってくる。午前中のパート勤務を終えると、翌日の労働再生産に必要なこと以外何もせずゴロゴロと過ごしてしまう。 それに、家庭礼拝でヨハネ伝を取り上げているので講解…

オンライン礼拝

コロナ禍で二ヶ月ほど、家庭礼拝が行えなかった。緊急事態宣言中でも、仕事を休むわけにいかず出勤を続けていたので、万一自分が罹患してそれに気づかない無症状コロナ患者であったらと思うと、娘や孫と集まり礼拝するのが怖かった。そこで、説教レジメのみ…

死後の生活、復活まで

最近、いよいよ私も老年に入り、死後の人間のありようについて思いをいたすようになった。かかりつけのお医者様に、まだ後20年以上生きるんだからその気で頑張れなど言われると、ヨタヨタヘロヘロで老残を生きるのかとうんざりする。ま、成り行きに任せるし…

ある音楽学者の死を聞いて

バッハ生誕300年記念の年だったと思うが、音楽雑誌にバッハ特集がありマタイ受難曲が取り上げられていた。そこに「磯山雅」という人が解説を載せておられた。それまでの音楽そのもの自体の解説とは違って、思想的信仰的な面から楽曲の解説をしておられ、…

寝そべって、会食!

最近、書店でNHKラジオ番組宗教の時間のテキスト「新約聖書のイエス」という本を見つけ、読んでみた。教会の説教とは違う角度から取り上げられていて、興味深く読んだ。だが、ある程度はすでに私が知っている部分もあった。 しかし、一番ショックだったの…

昭和29年のヨハネ伝講義

私の両親は、戦後間もない東京の下町で開拓伝道をしていた。その頃から、最初は求道者として、受洗後は信徒として、私の両親と深く交わり支えて来て下さった方がいる。先日、久しぶりにお会いしたくなり、お住まいを訪ねた。 喜んでお迎えいただき、お元気に…

思い溢れて

少女の頃、佐藤春夫の詩を愛誦した。今でも、ふと口ずさむことがある。 身の程知らずに、近代短歌100選など試みて短歌集など眺めるうちに、ふと「思い溢れて歌わざらめや」という春夫の詩句が浮かんだ。名歌は挽歌・相聞に多くあるという。何故か、溢れる思…

ダス イスト グート、これでいいのだ

近代短歌を検索していて、「バカポンのパパが最後にいうせりふこれでいいのだこれがいいのだ」(住谷眞)を発見。住谷眞氏を検索したら、なんと新約学者で歌人、聖書協会共同訳の翻訳者の一人であることが分かった。現役の牧師だそうである。短歌というとキリ…