「ジェーン・エア」を読む
①キリスト教信仰の観点から
永年、映画や小説で「ジェーン・エア」を愛読してきた。全体に英文学を好む私であるが、それだけでなく、文化や時代を異にするとはいえ、貧しい牧師の娘として育った作者に自分と共通する意識(キリスト教信仰へのこだわり)を感じるのである。現代のウーマンリブにも通じる自立した自分の生き方の主張の根拠に、創造者なる神の支配(摂理=providence)を据える点に共感を覚える。うまい小説とは云えないが、例えば同時代の女流作家ジェーン・オースチン「高慢と偏見」などと比較して、なんと神への意識が前面に押し出されていることか。「サイラス・マーナ」を残したG・エリオットも、同じく牧師の娘であったが、文化や良識の範囲でキリスト教の影響を間接的に示しているに過ぎない。