inner-castle’s blog

読書、キリスト教信仰など内面世界探検記

プラトン「パイドン」

「パイドン」読後感-魂が死後も存在するか

読中感のみで終わらせるつもりだったが、やはり全体を読んでの感想書きたくなった。 「パイドン」はプラトンがパイドンから伝え聞いたSの死の有様を核とした、プラトン自身の生と死についての「言論」、と考えてよいだろう。報告者パイドンは、Sが毒杯を呷…

「パイドン」読中感⑥-霊魂不滅の証明の続きからソクラテスの死まで

三、霊魂不滅の証明-3 (8)間奏曲Ⅱ。言論嫌い(ミソロギアー)への戒め-2※ここまで読み、魂(霊魂)が死後も存在することについてのの三つの証明の論理は坑だらけで納得できない。シミアスとケベスの反論にむしろ共感を感じる。 これまでのところ、Sと…

「パイドン」読中感⑤-霊魂不滅の証明-2

ケベスが想起説では、魂が生前存在していたという説明であり、死後も存在し続ける説明にならないと言い、既に輪廻循環説などで証明されたといっても、死をお化けのように恐れる子供が自分の中にいるから、更に納得させてくれと要請した。そこでS(ソクラテス…

「パイドン」読中感④ 想起説についての感想 

霊魂不滅の証明の(2)想起説による証明で、シミアスが「真実在(イデア)が最高度の意味で存在する、という以上に私にとって明白なことはない」と、感激の面持ちで語った。S(ソクラテス)も同様であろう。つまり、S師弟はイデアへの憧れと熱意(信仰)をも…

「パイドン」読中感③-霊魂不滅の証明-1

三、霊魂不滅の証明(1)生成の循環的構造による証明-生から死へ、死から生へ S(ソクラテス)は、肉体が死滅しても魂は雲散霧消しないという証明が必要というケベスの反論に応え、まず古くから言われている輪廻説(死んで魂はあの世にいき、再びこの世に転…

「パイドン」読中感②ー哲学者は死を恐れないという弁明とケベスの反論

二、死に対するソクラテスの態度 シミアスが、平然と世を去る理由を弁明するよう要請し、S(ソクラテス)は①死後、この世を支配する神々とは別の賢くて非常に善い神々のもとにいくこと、及び②現世の人より優れた死者達と共にいる事、の二点を信じるからだと言…

プラトン「パイドン」読中感①ープロローグから自殺禁止論まで

久々に古典中の古典「パイドロス」を読み返し、生涯にわたって娯楽読書ばかりしてきた私には新鮮だった。父から「古典を読みなさい」と繰り返し言われ、反発したものだが、下手なSFや大衆小説を読むより余程面白かった。次はどうなるかと物語の展開に胸を…