inner-castle’s blog

読書、キリスト教信仰など内面世界探検記

グレン・グールド:ベートーヴェンピアノソナタNo.30~32

 私にとって音楽とは、主にレコードやCDといった媒体を通して楽しむものであり、生のコンサートは年に二三回いければ良い方である。自分で楽器を演奏することもないし、学校卒業以来、歌うことも礼拝で指定された讃美歌程度である。
 だが、言葉で表現できないけれど、名曲は心を動かす。標題の曲も、バックハウス演奏をレコードからウォークマンに落として、繰り返し聴いてきたものである。しかし、涙が出そうになるほど感動しても、いまいち「乗せられたくない」自分がいた。
 ところが、六枚2000円の安さに惹かれて購入したG・グールド演奏のベートーヴェンには参ってしまった。簡単には乗せられたくない批判的で知的な解釈、正統的とは言えないだろうけれど、現代人が偉大なベートーヴェンをなぞるとこうなる、といった演奏で、思わずのめり込んで聴いてしまった。
 心身の衰えを自覚するこの頃、コンサートに通うこともだんだん難しくなってくる。それでも、今まで知らなかったこうした演奏を発見できる。音楽媒体の発達に、心から感謝している。