inner-castle’s blog

読書、キリスト教信仰など内面世界探検記

オンラインツアー

 この度、はじめてオンラインツアーを体験させて貰った。90分間世界一周ということで、エルサレム、モロッコ、ロンドン、インド、シドニーを15分ずつ現地ガイドが紹介してくれた。一番期待していたエルサレムではカメラの接続が悪かったりしたが、ライブ中継なので仕方ないことである。かえって、綺麗に撮影された映像より生の迫力があるというものだ。
 だが、ガイドがイスラム教徒なのでユダヤ教聖地には立ち入ることが出来ないという事情があり、ユダヤ教キリスト教聖地については嘆きの壁(70年に破壊されたヘロデ神殿の跡)を遠くから望見できただけであり、私としては物足りなかった。日本では、神社仏閣いずれの宗教的施設にも、信仰に関わりなく、ほとんど制限なく立ち入り拝見することが出来る。だが、それは世界的基準ではないのだと痛感した。

 岩のドームマホメットがそこから昇天したイスラム教聖地)では、敬虔な有様でメッカに向かって祈る人々の姿を観ることが出来た。己の信仰する至高の存在に対し自分の存在を賭けて切に祈る気持ちは、宗教に関わりなく同じであろう。家族や愛する者の平穏を願い、また、ひたすら救いを求める敬虔な気持ちは人間全体に共通している。爆撃や殺し合いの騒動が続くパレスチナでも、ユダヤ教徒イスラム教徒も同じ思いで祈っているのである。宗教や民族の違いを超えて、相互に尊重し合い調和して暮らすことができる平和を、遠い日本にいる私も胸痛く祈ったことであった。
 インドのピンク色のお城やマハラジャがまだ現存している地方なども興味をそそられた。カースト制度はなくなっても、マハラジャやそれ以外の平民の身分は残存しているのである。日本との文化の違いを、今さらながら感じた。
 各地を、ホンの少しずつではあるが中継で覗けた。こちらが見たいものだけでなく、現地の現在の状況のなかでそれぞれ紹介して貰ったことがよい体験であった。例えばエルサレムについて、私が一番関心があるのは、イエス当時の神殿やその周辺の地域である。だが、現在のエルサレムイスラム支配や十字軍、大戦後のイスラエル建国などの歴史を経て、いまだ安定した状況にはない。パレスチナに暮らす人々の為に祈りつつ、歴史を踏まえた現在の目でエルサレムを見なければならない事を教えられた。
 年齢を重ね、長旅はもはや体力的にも金銭的にも困難になってきた。その点、オンラインツアーは体力も費用もかからず、気軽に映像や音声でバーチャルツアー体験ができる。上手に利用して、閉じこもりがちな老後の楽しみの一つにしたい。貴重な体験をさせてもらい、誘ってくれた家族に感謝している。