inner-castle’s blog

読書、キリスト教信仰など内面世界探検記

映画感想

情欲と愛情…フェロートラベラーズ-2

佐藤春夫は、付き合っていた人妻と別れた後に次のように歌った。 かくまでふかき恋慕とは わが身ながらに知らざりき、 日をふるままにいやまさる みれんを何にかよはせむ。 ー殉情詩集「箏うた」ー 飽きたり嫌になって別れたのではなく、訳があり納得して別…

ドラマ「フェロートラベラーズ」…性欲と愛情の関係

1950年代から1987年頃にかけての、アメリカ合衆国の同性愛者男性二人の愛憎の歴史を、同性愛者差別や黒人差別などの政治問題と絡めて描いた8話完結のドラマである。 「赤狩り」で有名なマッカーシー旋風が、単に「共産主義」を排除しただけでなく、同性愛者…

映画「人生は小説なり」

8月初頭、久々に銀座のミニシアターで、アラン・レネ監督の映画「人生は小説なり」を観てきた。アラン・レネと言えば、話題作「去年マリエンバートで」や広島を舞台にした「二十四時間の情事」等で有名だが、ちょっと難解で、映画には純粋娯楽を求めていた若…

アニメ「青のオーケストラ」 佐伯君のこと

漫画・アニメ好きはまだまだ続いている。標題のアニメは、「四月は君の嘘」同様、クラシック音楽絡みで少年の成長を描いたものである。クラシック音楽絡みというと、一昔前は「のだめカンタービレ」があり、指揮者を目指す音大生の恋愛に絡めて名曲をふんだん…

アニメ「四月は君の嘘」

この夏は、暑さ、及び取り組んでいる聖書の箇所の難解さに、限界を感じまくった日々であった。そこで、頭を使わず楽しめるアニメ漫画を見て過ごした。標題のアニメは、中でも出色の名作と思えた。それに、自分から選んでまでは聴かないポピュラーなクラシッ…

映画「エゴイスト」

映像作品は完全に娯楽のためと思っているので、深刻で悲しい話は敬遠するのだが、偶々レンタルビデオ店に返却に行ったら標題の映画がDVD新作レンタルされていた。小説も読んだことだし、鈴木亮平さんのファンでもあるので借りてみた。 原作では、主人公の…

台湾BLドラマ「隣のきみに恋して-Close to You」

アニメ「天官賜福」にはまって以来、私もすっかり腐女子(BL好きの女)になってしまい、堅い本に飽きると主にアマゾンプライムビデオで軽い娯楽作品を観ている。だが、殆どが思春期の少年達のモヤモヤした気持ちとか、こそばゆい性的興味本位のものが多く、見…

映画「青いカフタンの仕立屋」…全き愛は、恐れを取り除く

最近、久しぶりに映画館で「青いカフタンの仕立屋」という作品を見た。予告編にあったブルーのシルクサテン地に金色のモール刺繍が施されたカフタンドレスに魅せられたからである。しかし、どうしてこうも男性の同性愛がらみの作品が多いのだろう。禁断の愛…

子役の演じる「紅楼夢」

娘時代、「紅楼夢」を読みふけって親に叱られた記憶がある。その時の本はとっくに失ってしまったが、アマゾンプライムビデオで表記のドラマを発見した。子供が演じるのでは学芸会レベルと思ったが、少し覗いて見た。 ふっくらほっぺの子供達が、付け髭で「……

「君、花海棠の紅にあらず」感想-2

先日、あまりにも簡単に感想を記したので続きを書きたくなった。 天才的京劇役者商細蕊は、その才能に対するあらゆる梨園の妬みや意地悪に打ち勝ち、北平第一の役者としての揺るぎない人気と地位を確立していく。機会を得て、好敵手と南京を訪れる、憧れの崑…

イデアへの愛、中国ドラマ「君、花海棠の紅にあらず」感想

テレビは殆ど見ない私だが、代わりに娯楽としてアマゾンプライムビデオを見る。レンタルビデオと違い、返却する必要がなく試しに少し見て面白そうなら続けて見ることもできるし、そうでなければ止めて別の作品を覗くこともできる。昔、本屋でまず試し読みし…

映画「人生は小説よりも奇なり」(原題Love is Strange)

たまたま、題名に惹かれてレンタルしたDVDである。それは、熟年同性婚カップルの物語であった。 あらすじは以下の通り。「ニューヨーク、マンハッタン。39年間パートナーとして同居してきた画家のベンと音楽教師のジョージは、同性婚が法律上認められて晴れ…

映画「安魂」

岩波ホールが間もなく閉館になると聞き、若い頃から親しんだ映画館を最後にもう一度訪れてみた。中国と日本の合作の「安魂」がかかっており、息子を亡くした父親がそのショックをどのように乗り越えるかがテーマになっていた。 原作の小説と映画は、中身が大…

映画「ハンナ・アーレント」

ナチスのユダヤ人殺戮は、21世紀に入っても人間にとって恐るべき悪の可能性の実例である。最も恐ろしく思えるのは、それを実行したドイツ人達が当時の時点で悪と思わなかったかもしくは罪の意識が殆どなかったことである。 アイヒマン裁判で被告は、自分は上…

映画「家なき子」

新聞の映画評欄で上記作品が公開されたことを知り、思い切って久しぶりに映画館に行ってみた。エビスガーデンシネマは、平日の昼間のせいもあるかと思うがガラガラで、ソーシャルディスタンスの心配どころか、私の座席の列には私一人、ほか誰も座っていない…

田中芳樹「銀河英雄伝説」

コロナ禍と引きこもりの孤独に耐えかね、レンタルショップで娯楽アニメを探してみた。娘のお勧めは「キングダム」というアニメだったが、人気のようで借り出されていて、仕方なく「銀河英雄伝説」(旧作)を試しに借り出した。 これが実に面白かった。続きを…

映画「一粒の麦、荻野吟子の生涯」を見る

先日、アルバイトで知り合った仲間に誘われ、山田火砂子監督、現代プロダクション制作の表記映画鑑賞会に参加した。わざわざ赤羽まで出かけなくとも,DVDか上映映画館がないか探したが、見つからなかった。娯楽的要素が少ない作品なので、商業ベースにのらず…

映画「マグダラのマリア」

レンタルで「マグダラのマリア」という新作DVDを見かけ、借りてみた。 マグダラのマリアは、イエスの女性弟子の一人で「七つの悪霊を、イエスに追い出してもらった」と聖書に書かれている。ということは、現代風にいえば重い精神的障害をイエスに癒された…

映画「ボヘミアン・ラプソディ」

年末に、話題の「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。 「クィーン」は私とほぼ同世代のロックバンドである。だが、彼らがヒットしていた時は、子育てや生活に追われてロックミュージックどころではなかった。流行っていることだけは知っていたが、ほぼ初体験で…

映画「パウロ」を見て

先日、渋谷で映画「パウロ」を観た。正直言って、やはりね~と、ため息が出る内容であった。一番神経に触ったのは、ローマの大火の結果、キリスト者に対する迫害が起こり、街灯の代わりにキリスト者を焼き殺して灯りにするなどの悪趣味な描写があったことで…

映画、「孤独のススメ」感想

レンタルビデオ屋をのぞいた。コメディの棚に、初老の男のカバーで「孤独のススメ」があったので、借りてみた。 真っ平らなオランダの郊外をバスが走っている。乗客も少ない。初老で独り者の男(フレッド)が、バスをおりる。自宅前の原っぱで子供たちがサッ…