inner-castle’s blog

読書、キリスト教信仰など内面世界探検記

墨香銅臭著「魔道祖師」

表題の作品は、現代中国のBL(Boys' Love=男の同性愛)小説である。硬い本ばかりでは疲れるので、漫画や娯楽小説を漁っていて偶然手に入れた。異世界で魔力を手に入れ魔物と戦うといったワンパターンの漫画やライトノベルズに飽きていたので、全4巻のうち…

キリスト者の要件

久々の投稿となってしまった。読書記録として始めたブログだが、感想の書きやすい小説などではなく、どちらかというと教科書風のお勉強の読書(聖書解説本など)プラス気分転換用のライトリーディング(漫画やライトノベルズなど)だけに成っていたからであ…

文字と言葉

私が自宅にこもっていると知って、妹が食べ物や本を沢山、数回にわたって差し入れてくれた。いまだに家族やサークルなどの世話に忙殺されている中で心遣いしてくれてありがたい限りである。私はと言えば惣領の甚六、こうした細やかな気遣いができないたちで…

ワクチン接種の心構え

7月1日に、コロナワクチンの2回目の接種を受けた。その副反応というか、副作用が予想外にひどかったので、我ながら甘く考えていたことを反省した。 当日昼頃接種を受け、そのまま自宅にもどったが、夕方頃から体調が悪いのが自覚され早寝した。処が、夜中に…

バッハカンタータ大全集(アルノンクール・レオンハルト版)

バッハカンタータ大全集というレコードを、職場近くの図書館で発見したのはもう40年以上昔になる。まだ子供が幼く保育園に預け、共稼ぎで奮闘していた頃だ。生活も苦しく、仕事と家事に追われ何の余裕もない時期であった。通勤の行き帰りに読む本を借りる…

アウグスティヌス「神の国」

半年ぶりの投稿である。自分の読書感想を記録するためにこのブログを開始したのだが、アウグスティヌスの「神の国」(文庫五冊)を読み始め,途中で挫折して中断してしまった。 私は、彼の有名な「告白録」を読んで感銘を受けた記憶がある。またボッティチェ…

見えない人々

「福音と世界」という雑誌に「夜間中学 仲間とともに未来を開く学び」という記事が掲載された。妹が永年夜間中学教師として働いてきた関係から、私も少なからず夜間中学に関心をもってきたつもりだが、記事を読んで色々と気づかされたことが多い。 前回のブ…

映画「ハンナ・アーレント」

ナチスのユダヤ人殺戮は、21世紀に入っても人間にとって恐るべき悪の可能性の実例である。最も恐ろしく思えるのは、それを実行したドイツ人達が当時の時点で悪と思わなかったかもしくは罪の意識が殆どなかったことである。 アイヒマン裁判で被告は、自分は上…

映画「家なき子」

新聞の映画評欄で上記作品が公開されたことを知り、思い切って久しぶりに映画館に行ってみた。エビスガーデンシネマは、平日の昼間のせいもあるかと思うがガラガラで、ソーシャルディスタンスの心配どころか、私の座席の列には私一人、ほか誰も座っていない…

亀によせて

松本清張の「砂の器」に、亀田という地名が出てくる。亀のつく地名はすごい多い。かくいう私の住まいもそうで、街頭は亀甲モチーフ、街角には美しくもない亀の像が沢山置いてある。なんでこんなに「亀」は人気なんだろうか。 人名や屋号にも、最近はともかく…

さらぬ別れ

伊勢物語に、昔男の母宮が、宮仕えに忙しくなかなか遇いにこられない男(業平)に「老いぬればさらぬ別れのありといへば いよいよ見まくほしき君かな」と和歌を送る段がある。男は泣き泣き「世の中にさらぬ別れのなくもがな 千代もと祈る人の子のため」と返…

田中芳樹「銀河英雄伝説」

コロナ禍と引きこもりの孤独に耐えかね、レンタルショップで娯楽アニメを探してみた。娘のお勧めは「キングダム」というアニメだったが、人気のようで借り出されていて、仕方なく「銀河英雄伝説」(旧作)を試しに借り出した。 これが実に面白かった。続きを…

上橋菜穂子「炎路を行く者」

前回触れた、上橋菜穂子「精霊の守人」シリーズの番外編に「炎路を行く者」がある。守人シリーズの「蒼路の旅人」と「天と地の旅人」に登場する人物アラユタン・ヒュウゴの少年時代を取り上げた作品である。だが、これを発表すると、シリーズの主人公皇子チ…

ファンタジーの世界観

私の何よりの楽しみは、良質のファンタジーやSF小説を読みふけることである。昔から、その件で親や夫に呆れられた。しかし今は、好きなものをだれ憚ることなく読める時期だ。お堅い本に疲れると児童文学であろうと構わず楽しく読みふけっている。 最近は、…

洗礼者ヨハネの最後

猛暑とコロナ禍で引きこもるっていると、刺激がなくて本を読みたいという好奇心もなくなってくる。午前中のパート勤務を終えると、翌日の労働再生産に必要なこと以外何もせずゴロゴロと過ごしてしまう。 それに、家庭礼拝でヨハネ伝を取り上げているので講解…

映画「一粒の麦、荻野吟子の生涯」を見る

先日、アルバイトで知り合った仲間に誘われ、山田火砂子監督、現代プロダクション制作の表記映画鑑賞会に参加した。わざわざ赤羽まで出かけなくとも,DVDか上映映画館がないか探したが、見つからなかった。娯楽的要素が少ない作品なので、商業ベースにのらず…

オンライン礼拝

コロナ禍で二ヶ月ほど、家庭礼拝が行えなかった。緊急事態宣言中でも、仕事を休むわけにいかず出勤を続けていたので、万一自分が罹患してそれに気づかない無症状コロナ患者であったらと思うと、娘や孫と集まり礼拝するのが怖かった。そこで、説教レジメのみ…

死後の生活、復活まで

最近、いよいよ私も老年に入り、死後の人間のありようについて思いをいたすようになった。かかりつけのお医者様に、まだ後20年以上生きるんだからその気で頑張れなど言われると、ヨタヨタヘロヘロで老残を生きるのかとうんざりする。ま、成り行きに任せるし…

藤井武著「羔羊の婚姻」

藤井武著「羔羊の婚姻」 藤井武は、内村鑑三の弟子で無教会派の独立伝道者であった。彼は石川県金沢市の出身だが、父の東京赴任に伴い上京。一高・帝大出のエリートである。卒業後、4年間内務省官僚として勤務したが、キリスト教伝道の志やみがた辞職して、…

市川喜一先生著「対話編・永遠の命ーヨハネ福音書講解」Ⅰ&Ⅱ

もう20年以上、家庭礼拝を続けている。神学的訓練を受けた夫が長年説教を担当してくれた。その間は、本人は準備が大変であったろうけれど、聴く立場の私や娘は気楽であった。ところが夫が天に召され、信徒にすぎない私と娘だけで礼拝を継続するとなると、大…

孤独のサイクリング

若いころから、散歩が大好きであった。家族の多い環境であったから、ガヤガヤした家やテレビを離れ、一人きりで歩きながら特に何かを考えるでなくともなんとなく自分を取り戻し、気分転換できるのである。 ところが坂の多い町から、平らな下町に移ってからは…

ある音楽学者の死を聞いて

バッハ生誕300年記念の年だったと思うが、音楽雑誌にバッハ特集がありマタイ受難曲が取り上げられていた。そこに「磯山雅」という人が解説を載せておられた。それまでの音楽そのもの自体の解説とは違って、思想的信仰的な面から楽曲の解説をしておられ、…

寝そべって、会食!

最近、書店でNHKラジオ番組宗教の時間のテキスト「新約聖書のイエス」という本を見つけ、読んでみた。教会の説教とは違う角度から取り上げられていて、興味深く読んだ。だが、ある程度はすでに私が知っている部分もあった。 しかし、一番ショックだったの…

昭和29年のヨハネ伝講義

私の両親は、戦後間もない東京の下町で開拓伝道をしていた。その頃から、最初は求道者として、受洗後は信徒として、私の両親と深く交わり支えて来て下さった方がいる。先日、久しぶりにお会いしたくなり、お住まいを訪ねた。 喜んでお迎えいただき、お元気に…

神学論集「烈しく攻める者がこれを奪う」を読んで

私はクリスチャンであるが、信徒(レーマン)であり、神学的訓練など受けたことはない。その私が、お門違いの新約聖書神学論集など手に入れたのは、著者の住谷眞氏が歌人でありたまたまネットでその短歌を読んだからである。そして、幼い頃から親しんできた…

思い溢れて

少女の頃、佐藤春夫の詩を愛誦した。今でも、ふと口ずさむことがある。 身の程知らずに、近代短歌100選など試みて短歌集など眺めるうちに、ふと「思い溢れて歌わざらめや」という春夫の詩句が浮かんだ。名歌は挽歌・相聞に多くあるという。何故か、溢れる思…

ダス イスト グート、これでいいのだ

近代短歌を検索していて、「バカポンのパパが最後にいうせりふこれでいいのだこれがいいのだ」(住谷眞)を発見。住谷眞氏を検索したら、なんと新約学者で歌人、聖書協会共同訳の翻訳者の一人であることが分かった。現役の牧師だそうである。短歌というとキリ…

近代短歌100選を試みて

娘に、短歌100選を思い立つなど素人の怖いもの知らずと云われ、まさにその通りだと思い知っている。 きっかけは、日本人なら誰でも(日本人ならと云う言葉は、外国籍の人を排斥するようでいやなのだが)生活の折節にふと思い出す和歌を、母であり祖母でもあ…

心に残る近代短歌

追補⑥吉野秀雄病む妻の足頸(あしくび)にぎり昼寝する末の子みれば死なしめがたしをさな子の服のほころびを汝(な)は縫へり幾日(いくひ)か後(のち)に死ぬとふものをこれやこの一期(いちご)のいのち炎立(ほむら)だちせよと迫りし吾妹よ吾妹 中村憲吉新芽(にいめ…

近代短歌百人一首

以前家族で、啄木の短歌の上の句を読み、下の句を答えるカルタ遊びのようなことをして遊んだことがある。啄木の歌はよく知られていて、誰でもいくつか知っていたが、歌集を手元においていたわけでなく、すぐ種が尽きてしまった。百人一首なら、すぐ思い出せ…